2006年03月18日

斎場御嶽の事件ニ思フ

kuwaさんのところで知った、とても大切にされている場所が踏みにじられたというお話。

斎場御嶽の「こがね壺」、香炉盗まれる(琉球新報)

まぁワタシ自身も"しがない観光客"という立場でありながらもショックを受けたので、少し思うところをまとめてみます。

過ぎたことならどうとでも言えるのでしょうが、ワタシ自身もこのような出来事については昔から想像するところがありました。「も」というのは、恐らく訪れた経験がある方なら誰でもそのように感じるだろうと思われるから。数年前初めて斎場御嶽を訪れたときには「なんと無防備な聖地だろう」と大きな衝撃を受けました。世界遺産に指定される程の大切な場所なのに、杭も柵も大してなく、簡素な説明を行う以外に看板らしきものもありません。これでは悪意ある人が居れば何だって出来てしまうではないかと。結局そのときの理解としては、観光的側面や歴史的価値の観点だけで考えると大いに無防備ではあるが、未だ生活に密着した信仰の場であると考えれば杭や柵といった保護器具などなくて当然、と、一応納得がいったものです。王国時代の信仰が今でもきちんと生きているという点は極めて素晴らしいことですし、あるいはこういった心の在り方こそワタシなぞが沖縄に強く惹かれる要素なのだとも思います。が、無防備であるという事実は解消されるわけではなく、結局このような事件が起きてしまいました。
今回の事件に至る過程で、無防備であること以外にも気になっていたことがあります。それはどうも拭えない「聖地である」ということに関する"啓蒙不足"の点です。(なおこのパラグラフのお話は、今回の犯人が観光客である、ということが前提になってしまうかもしれません。)例えば観光客が旅行代理店から無料でもらうようなパンフレットにも斎場御嶽は掲載されているのですが、それが何の場所であるのかイマイチ不明確。当然もう少し丁寧な本を読めば「枯葉ひとつ、小石ひとつ持ち去ることも許されない場所である」と書いてあるわけですが、どうでしょうか、あの場を訪問する観光客のなかで、それほど神聖な場所であることを認識している人は明らかに少数派ではないでしょうか。今回の盗難の件を別としても、タバコのポイ捨てなどが見受けられるのは、啓蒙不足のまま不用意に観光客を呼んでいることにも起因するのではないでしょうか?さらに近年、入り口前の駐車場が大変奇麗に便利に整備されたことも、どのような意図で整備されたかは存じませんが、そういった傾向を加速させていたのかもしれないなと思ってみたりします。

さて今後のことですが、当然もう少し保護するための施策というのが議論されることにはなるでしょう。しかし看板程度ならまだしも、あちらこちら柵で囲まれるようなことが起きれば、無防備ではなくなる一方で信仰の場としての側面は失われていくかもしれません。"聖地"ではなく"聖地跡"、そんな斎場御嶽になってしまう前に、せめて今回の報道が今一度この場所の大切さを換気するきっかけになればと勝手ながら祈る次第です。

こがね壺

なおこの記事は"シマウタ37.6度“沖縄からの微熱な話題”"『世界遺産『斎場御嶽』が荒らされた!』にトラックバックさせて頂きました。

なお斎場御嶽については下記に詳しい説明があります。ご参照ください。
沖縄デジタルアーカイブ 斎場御嶽




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 近年、沖縄では、聖地が荒らされる事件が頻発しています。記憶に新しいのは、昨年末に発覚した、久高島の御嶽の聖林伐採。そして、今回の斎場御嶽での盗難。報道されない御嶽荒らしも、よく起こっているのだそうです。 幾人もの人が感じているように、これらのことは、と
聖域について(1)【沖縄文学館】at 2006年03月20日 22:26
この記事へのコメント
きのう護佐丸が、生活する?
Posted by BlogPetの護佐丸 at 2006年03月20日 10:43
御無沙汰していました。退院されたとのこと、何よりです。
トラックバックさせていただきました。

これからも楽しみにしていますので、無理のない範囲での更新をお待ちしています。
Posted by あゆ at 2006年03月20日 22:32
コメントならびにご心配ありがとうございます。
楽しみに、などとは勿体のうございます。
トラックバック先記事拝見しました。
この問題を整理するにはもう少し時間がかかりそうですね。
ワタシは物事に対して性善説で考えたい人間ですが、
本件もその観点で議論が進むことを祈っています。
Posted by Ryuzo、 at 2006年03月21日 03:15
なんとも悲しい事件ですね・・・。
歴史の違いはあれど、奈良でもよく仏像が盗まれたり
いたずらされたりしますが、そんなことするヤツの気が知れない。
無事に返ってくるといいけど・・・
Posted by sperry at 2006年03月21日 14:44
仏像が盗まれたのは本当にショックでした。
あれは確かお堂に傷を付けていましたよね。
自分も仏像好きですから実に悲しかったです。

ちなみに今回盗まれたのはレプリカというか、
そんなに歴史があるものではないそうですが、
それでもやっぱりきちんと返していただきたいですね。
Posted by Ryuzo、 at 2006年03月22日 00:13
そうですね。時間がかかることだと思います。
ところで、確認したいのですが、私の記事は性悪説の観点で書かれたとお読みになったのでしょうか。
Posted by あゆ at 2006年03月22日 11:01
いえいえ、あゆさんの記事が性悪説ベースだなんて、
全然そんなこと思っていませんよ^^
ちょっとワタシの文章が不親切だっただけです。

過度に再発を意識して、柵や鎖で繋がれるような
結果にならないといいのだけれど、というようなことが言いたかったのです。
要するにあまりあゆさんの記事に関係ないこと書いてるんですね。
ほんとゴメンナサイです。
Posted by Ryuzo、 at 2006年03月22日 11:33
そうでしたか。いえ、そうかなとは思ったんですが、「みんな一緒だろー」みたいなことになってるので、そう取られたのかなとふと思ったので、純粋に尋ねてみようと思ったのでした。さっそくのお返事、ありがとうございましたm(_ _)m

>過度に再発を意識して、柵や鎖で繋がれるような結果にならないといいのだけれど
私も同じ気持ちです。
Posted by あゆ at 2006年03月22日 12:03
>「みんな一緒だろー」みたいなことになってるので、
私の記事が、です。
Posted by あゆ at 2006年03月22日 12:17
ワタシも当事者意識を持つことの必要性について全く同感です。
これをね、単なる観念論に昇華させなかった点において、
あゆさんの観点は素晴らしいと思います。

顔の見えない相手とこういう話をするのは気を遣いますが、
うちのblogでは妙な気遣い一切不要ですよ^^
Posted by Ryuzo、 at 2006年03月22日 19:35
啓蒙、もしくはPRの必要性を強く感じます。

トラックバックさせていただきました。
Posted by びん at 2006年04月07日 18:38
ありがとうございます。
トラックバック、うまく来ていないみたいですね。
よろしければまたリトライしてみてくださいませ〜。
Posted by Ryuzo、 at 2006年04月09日 21:17